鎮痛剤について

この2,3年で動物の痛みに対する研究が盛んになり、日本でも研究会が設立されるまでになりました。

(私的には遅いんだよ!と思っています。私の病院では20年も前から手術前後の疼痛管理や腫瘍に関連する痛みのコントロールを麻薬まで使用しおこなっています。)

学術的に動物の痛みがようやくわかってきました。そして、鎮痛剤も動物専用の薬が多数市販されるようになってきました。それらの薬も安全性が高く、効果も十分認められています。

私の病院では、手術前から鎮痛療法を開始いたします。さらに手術中、手術後にも使用することで、動物は手術の痛みからかなり解放されます。

整形外科手術は動物でも人間でも激しい痛みを伴います。しかし、鎮痛をきちんとおこなうことで、その後の治癒にも大きく影響していることを、私は経験的に感じています。
昔のように、動物は痛みに対して鈍い、という考え方は今では通用しません。

動物も痛みを感じるから生きていけるのです。病的に痛みを感じない場合の生存率はきわめて低いといわれています。痛みとは体が発している注意信号だからです。

鎮痛剤と聞くと、あまりいいイメージを持たない人が多いように感じますが、実はそうではなく積極的な使用がいいといわれています。

鎮痛剤の乱用、これはいけません。なぜなら、原因がはっきりしている痛みに対して使用することは治療効果を上げますが、原因のわからない痛みに鎮痛剤を使用すると、病気を隠してしまいます。痛みが無くなったので、病気が治ったと勘違いしてしまうからです。

鎮痛剤はあくまでも痛み止めと炎症を抑える作用しかありません。痛みの原因を治す薬ではないのです。このことを、使用する側、薬を出す側、双方がきちんと理解していなければなりません。

鎮痛剤の効果的な使用法の1つに「先制鎮痛」という方法があります。つまり、痛みが始まらないうちに使用する、ということです。手術の前に使用するのもまさしく「先制鎮痛」なのです。

痛みがひどくなってから使用したのでは、鎮痛剤の効果も半減してしまうからです。